Masakazu Yoshida

今年みたアニメーションでよかったもの

2015-12-31 23:59

今年みたアニメーションでよかったものを記録しておこう。 製作年の古いものも含まれているが、今年になって私が見たものということで。 順番は見た順序です(よかった順ではありません)。

「SHIROBAKO」は、アニメーション製作業界の楽屋話的ドラマ。 「武蔵野アニメーション」に進行担当として 新卒入社した主人公(女の子)がさまざまなトラブルを乗り越えていく… というお話し。 業界あるあるエピソードに満ちていて面白いのだが、 アニメータをエンジニアに置き換えてみるとIT業界も笑えない(やがてかなしき、か)。 タイトルの「白箱」とは、映像業界の用語で、 完成した作品を納めたビデオテープの白い箱に由来する。

「STEINS;GATE」は多元宇宙もののSF。 ネタバレになるので詳しくは説明しないが、 主人公「鳳凰院凶真」が「リーディングシュタイナー」の能力をもつ設定が この切ない物語を成功させているキモだと思う。 永遠の中二の男の子が共感できる圧倒的なディティールに魅了される。 真剣に「未来ガジェット研究所」のラボ・メンになりたいと思った。 「エル・プサイ・コングルゥ」

「おそ松さん」は、赤塚不二夫先生の「おそ松くん」が原作の シュールなギャク・アニメーション。 「おそ松くん」の六つ子が成長してニートになっているという設定。 登場人物は六つ子を含めてほぼ例外なく人間のクズ(笑)。 特に「だよーん」は非人間的なハイパー・スーパー・トリックスターだ。 毎週こんなハイクオリティの脚本と作画で攻めているのは凄い。 マニアックなポイントとしては、声優の配役が無駄に豪華。

「氷菓」は、京都アニメーション製作の学園ものドラマです。 学校生活の日常描写に、 淡いロマンスとミステリー(謎解き)の要素を織り交ぜたストリーライン。 いってしまえば地味な作品です。 でも、なんといってもアニメーションの質が非常に高い。気持いい。 演出、コンテ、構図、作画、美術、すべてが高いレベルで融合しています。 これはとてもすごいことで、 我々が日常生活でよく見ているものを美しくアニメーションで描くことは 超がつく困難課題なんです。 (あのリアリズムの高畑勲でさえ「おもひでぽろぽろ」で無惨に失敗している。) 日本のアニメーションの到達点の一つではないかと思います。 来世では、主人公の折木奉太郎(おれき ほうたろう)に生れて 神山高校の古典部に入るような高校生活を送りたい。