2013-01-03
月は、いつも同じ面(表)を地球に向けています。そのため、私達は、月の裏側を直接見ることができません。
これは、月の公転周期(月が地球の回りを一周する時間)と自転周期(月が自分で一回転する時間)が等しいためで、そのため、いつ、どこから見ても、月の「うさぎが餅をついている」模様を見ることができます。
では、この現象が単なる偶然によるものでしょうか、それとも、なんらかの原因があるのでしょうか?
私は、漠然とですが、地球と月は特別な存在であり、この現象は偶然だろうと思っていました。
ところが、先日、大学院で天体物理学を研究されている(イケメンの!)S氏にうかがったところ、惑星と衛星の間では、公転周期と自転周期の一致は、実は、ありふれた現象であり、Tidal locking と呼ばれるメカニズムによって起ることを教えていただきました。
Tidal locking とは何でしょうか?
以下、思いっきり単純化した説明です:
Tidal locking とは、惑星の引力(潮汐力)が衛星を(ごくわずかに)ラグビーボール状に変形させるため、その結果として、衛星の自転周期を公転周期に一致させるような力が発生する現象をいいます。
たとえば、衛星の自転が公転周期より速い場合は、その自転を遅くするような力が衛星に働き、逆に、衛星の自転が公転周期より遅い場合は、自転を速める方向の力が衛星に働きます。
したがって、とてもとても長い時間が経過すれば、衛星が最初に惑星の周りを回るようになったときの自転速度が速かろうが、遅かろうが、最終的に公転周期と自転周期が一致するように自転速度が調整されます。しかも、いったん一致すると、安定し、その状態を保ち続けようとします。これが、Tidal locking です。