Masakazu Yoshida

写真の方程式

2014-01-17 16:37

非常に乱暴な議論だけど、ドレイクの方程式にならって、写真の方程式というものを考えてみます。

Q(p) = A × Where x When × Comp × Exp × Focus × P

ここで、Q(p)は、無限にある可能性のなかの任意の一枚の写真のクオリティを表わします。尺度はよくわからないけれど、とりあえず、最低は0で、値が大きくなるほど「傑作」だとしよう。ただし、この値が0なら、その写真は存在しないと約束する。

等式の右辺、すなわち写真のクオリティの実体は、A, Where, When, Comp, Exp, Focus, P の7個の要素(変数)の掛け算(積)です。

これらの要素は、左から順に、A:その時カメラを持っているか否か、Where:場所、When:時刻、Comp:構図、Exp:露出、Focus:フォーカス、P:カメラの性能、を表わします。

これらの要素はすべて、0以上の値をとり、マイナスにはならないとします。掛け算ですので、どれか一つの要素でも1より小さくなると(例えば0.3とかになると)、最終的な写真のクオリティが低下する(0に近づく)ことになります。

便宜上、カメラの在否(A), 場所(Where), 時刻(When)の3要素をまとめて「シャッターチャンス」と呼ぶことにします。

シャッターチャンス = A × Where × When

加えて、構図(Comp)、露出(Exp)、フォーカス(Focus)の3要素を「写真技術」と呼ぶことにしましょう。これらの要素を写真技術と呼ぶのは、トレーニングによって改善できるスキルだからです。

写真技術 = Comp × Exp × Focus

これらを使って写真の方程式を書き直すと、次のようになります。

Q(p) = シャッターチャンス × 写真技術 × P

いつもカメラを持ち歩く

写真の方程式で最も重要なことは、カメラを持って、その場所に、その瞬間にいなければ -- シャッターチャンスの要素が0だと -- いかに傑作をものにする潜在的なチャンスがあったとしても、結果は0だということです。

コダック社の(アマチュア写真家のための)よい写真を撮るための10のヒントのトップが「1. いつもカメラを持ち歩く」になっているのは、このことを指しているのだと思います。

考える前に撃て(Shoot first, ask later.)

シャッターチャンスの重要性に比較すると、写真技術を構成する3つの要素は、極論すると、それほど重要ではありません。構図が悪かろうが、適正露出から外れていようが、ピントがビシッっと来ていなかろうが、全くの0点ということにはならないし、カメラを自動に設定すれば、とりあえず平均点レベルには写ります。

したがって、次に起ることが予期できない状況 -- 例えば、ストリートフォトやスナップショットでは、カメラを全自動モードに設定しておき、とにかくその瞬間にカメラを被写体に向けてシャッターを切ることが、合理的な手法の一つになります。

「モビルスーツの性能の違いが、戦力の決定的差ではないということ」

さらに言うと、写真の方程式では、カメラの性能(P)は重要性が最も低い要素になります。なぜなら、どのようなカメラでもほぼ十分な性能をもっている現在、他の要素の変化の幅に比べて P の値は所詮「どんぐりの背比べ」であり、写真のクオリティを決定するものではないからです。

でも、新しいカメラが出るたびに欲しくなるから困ったものです (^^;

(写真は奈良女子大の近くで)